見たこともない町/宮木理人
 
ものばかりを生み出し、誰もが見た事の無いやりかたで消費していくことが日々のルールとして課されているらしい。皆が皆のまだ見た事のないものをクリエイトし、さらにそれを見たこのないやり方で消費する。
新しさが新しさで更新され、この町の人々は皆、新鮮な濁流に飲み込まれている労働者と化していた。見た事のないものを、皆が見飽きていた。
常に新しくないといけないという考え自体が既に古くなり、それにこだわり続けるお固い役人たちは、頭をやわらかくすることしか能がない。それは紛れもなく、見た事もない光景だということを、ぼくは誰にも言うことができなかった。


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