11月18日秋葉原で/ただのみきや
――一瞬 別の誰かの人生を生き終えて巡査は
《自分の喀血を裏表紙に散らして落款代わりにしよう……》
ギヤマンの壺の外側にはお江戸の老若男女が押し寄せる
「十年に一度の見世物だってよ! 」
「これを見逃したら次は2027年だって! 」
エログロ猟奇でどこか歌舞伎チックな二人の絡みを
人々は五平餅やみたらし団子を食べながら見物していたが
挑みかかる警官が血飛沫上げて吹っ飛ばされる
そのたびに拍手喝采巻き起り
みなが御捻りを投げるものだから
ギヤマンは くぐもりつつも涼しげな
風鈴とグラスハープを合わせ持つような声で
過ぎし日の夏を歌った
夏祭りも 盆踊り
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