川向こうの大火 2/TAT
 



けれども京都について私は何も知りません

京都についての知識が何も無いのです

或いは私の中に未だ

京都を迎え入れる為の準備が整っていないのだと

義父は私を叱ります

そんな事だからいかんのだと

私はベルトで打たれます

私はそのことが情けなくて

いつも勇気を出してパンツを脱ぎ

先生の仰るように力を抜いてひとつ前のそのひとつ向こうを見るのですが

金閣寺の先っぽが

入口まで来るともう

昨日を信じることが出来ません

明日を夢見ることが出来ません

何しろ弟の金閣寺でさえ駄目なのです

車掌さんや

同級生や

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