そしてまた大人になる。/愛心
 
二十代も半ばになって、初めて詩というものを書いてから十年は優に経ってしまった。
あの頃のような瑞々しさを、私はきっとどこかに置いていってしまった。

駄菓子屋のラムネのガラス玉を、宝石箱に仕舞い込んだあの頃。
雑誌の隅のおまじないに、心ときめかせたあの頃。
友達とお揃いのキーホルダー。
好きな人の写真と生徒手帳。
お気に入りのシャーペンと、物語を書き散らした薄いノート。

私が「ガラクタ」と、一蹴できてしまいそうなものばかり。
そんなものばかり、大切にしていた。

もぎたての果実の心。
甘酸っぱく、まだまだ青く、固くて、怖いもの知らずだった少女は、
薄く色づき、柔らかい
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