無題 3編/北井戸 あや子
乾いて、変わったのさ
「双眼鏡を、呉れ」
異国の興ざめ、つんざいた
憐憫と乗る雑音
脆弱って、頷いた、うんざり
のたうつ喧騒へ吹っ掛けるおれの眩暈
喫い飽きたフィルタアちぎって
風と売る灰と燃す人生
嗤った奴から、死んでいくんだろ
乾々照りなら牢獄さ、嗚呼!
咽越しならとうに
嗄れちまいました
*
影を引き摺った
今日がまたサヨウナラ
手さえ振る暇もなく
傘ならもう、あの日に棄てました
蒼に痩せる暗がりなら星座に腰掛けて
あんたと話しましょう
長くとも直ぐに、拠る空は脆いのさ
喉笛、鳴らしてみた
下手くそな口笛ひずんだ
生真面目に空を穢した朝焼けに
また誰かは泣くのか?
それとも香る外れの雨が泣くのか?
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