プレゼンテーション/tonpekep
 
ある日どういうわけか引力が真横になって
ぼくは壁に頬を擦りながら世の中の右側で暮らしはじめた

世の中の右側はページを捲る神経が発達していたので
それに重力がかかるのは不便であったけれどわくわくした

さて 空にもどういうわけか引力がかかって
壁にへばりついてしまった

それいらい空は上になく
空が抜けてしまったところには「捜しています」という立て札がかけられた

ただ一日の間に壁は青くなったり白くなったり赤くなったりした
そして夜には無数の星が瞬いた

ぼくはくすくすと笑ってしまった
笑いながら左手で紙ひこうきを飛ばした
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