流時紋/ただのみきや
 
水面から突き出し露わにされた
見えざる岩の 固く 鋭い突端
流れを切り裂いて
空間を満たしとどまることのない
               行進を
                ただ白く 
             泡立たせ
くんずほぐれつ 水は するようで
喜怒哀楽
眼差しの照り返しを乗せて ただ
        彼方へと流れ去る
己の静謐を寄り添わせ
如何様にも変化しながら
       なにも変わらないもの

         水も光も風も
無表情に干渉し合う
感じることもなく
見つめることもない
それらの指紋はみな
    観察者が記したもの

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