あきらめのわるい/坂本瞳子
左の肘の曲がり具合が気に入らない
ふと、そんなことに気づいた
角度を変えてみたり
腕を上げてみたり
手の平をひっくり返してみたり
肩をまわしてみたり
顔の向きを、そして
身体のいろんな部位の
向きや角度を変えてみたり
鏡に映して見たり
上から横から下から見たり
斜めの角度から見上げてみたり
這いつくばった姿勢になって見たり
思いつくことはしてみたけれど
なにをどうしたって気に入らない
形状の問題か
気の持ちようか
所詮自分などこんなものだと
諦めたい気もするのだけれど
それでもまた
見てしまうのだ
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