若さという幻影/葉leaf
 


 若さは一つの美徳である。これに対して疑義を挟む人は少ないだろう。人は若いからこそ美しく活気にあふれ、情熱にかられ、理想を追い求め、甘い苦悩に囚われる。そして、若いころにしか書けない詩作品というものがある。それは衝動的であったり装飾的であったり理想的であったりする。
 だがもちろん美徳というものは若さだけではない。若さにも様々な欠点がある。まず教養の不足と経験の不足。若い詩作品には表面的な美しさや実験性はあっても、懐の深さや実体験に根差した叙情が不足することが多い。次に現実意識や社会意識の不足。若い詩作品は現実から遊離し、社会的な意識に乏しいことが多い。自らの生きている凡庸な現実を嫌うこ
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