ことだま/シギ
ふと振り向いたときに
私は何も持ってはいなかったのだと思います
ねぇ 此処から遠い地へ
私が消えたなら あなたは 此処で 生き続けるの?
淋しく笑うことが罪ならば 私はどれくらい 裁かれなければならないの
ねぇ 私は私でしょう?
この手から零れたものが何であろうとも
私は此処で生きていた たった一人の 私なんです
ふと振り向いたときに
私は何も持ってはいなかったのだと思います
愛するあなたへ 私の言霊を捧げましょう
届かなくてもいいの
自己満足で、すませて
愛するあなたへ ねぇ 後を追ってほしいのだけれど
後は追って こないで、ください
そう
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)