天国を待ちながら、だけどこの身体の居心地もまんざら捨てたもんじゃない/ホロウ・シカエルボク
おれの周辺には
死刑囚の心情みたいな沈黙が堆積していた
それはぱっと見には
湧水のように床から滲み出たもののように見えたが
出処はそこではなく間違いなく余所にあった
マーク・ボランの
まるで酔っぱらっているような発声
こいつはまるで氷の下から叫んでいるようなボーカリストだ
大学ノートにのたうつ蛇みたいな詩の羅列
どうしてそれが書かれたのかは声に出してみなければわからない
おれは真夜中に
自分が生まれたわけを模索していく
アナログ・スタイルを模した往生際の悪いデジタル時計が
「誰もそんな時間に起きていようとはしていない」と
言葉を縫い付けるおれを小馬鹿にしている
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