ジャンヌ、雪の病室/田中修子
「あたしのいうこと聞かないんだったら地元の中学なんか出たらさっさと働いてもらう。労働者で搾取されて一生おしまいだよ。社会でやっていけないあんたが生きていけるわけないね」そう私をなじる。
受験に受かったときは褒められた。きっと父か誰か、そばにいたのだろう。ひとりでいるとなじるし怒鳴るが、少しでもひとめのあるところでは気持ちの悪いほど褒める人だった。「修子ちゃんはほんとうにすごい子だわ〜。ここ、見学のときにあなたが入りたいと言っていたわぁ。さすがパパとママの子ね」それで私はますますあの女が嫌いになった。
入学式でも、入ってからも、私はその女子校の建物に見覚えがない。校風も経血くさくてあまりに
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)