ルールとマナー/ただのみきや
早朝の駐車場
誰かが捨てたごみ袋を丁寧に
カラスが広げている
コンビニ弁当の容器や紙クズを
ひび割れたコンクリートの上
器用に嘴を使って
秋晴れの清々しい空の下
目ぼしいものはなにもない
お粗末な食卓を後に
悠々と歩き去る 黒服で
後ろ手にしたようなその姿
車もないのに信号が変わる
人もカラスも食事をする
人の食べ残しをカラスは食べるが
カラスの食べ残しを人は食べない
カラスにはカラスのルールとマナー
人には人のそれがある
カラスには生まれついて人には後づけの
カラスは自分のそれを守っている
人はしょっちゅう破るルールもマナーも
や
[次のページ]
戻る 編 削 Point(9)