再音/
木立 悟
ひとしきり震えて
夢の端 ついえて
抜殻を
荒地を
喧騒はすぎてゆく
忘れられた瑪瑙
夜を率いて
ひとつだけ大きな
空のまるみを抱く
やわらかな星
銀のふくらみ
まちがいに気づいて
離したその手を
もう一度握り
冬は溶けゆく
春に微笑み
うすく 微笑み
手わたすように
はじまるように
目を閉じる
かたちを失くしたものたちの
鼓動だけがさざめいていて
その淡いふちどりから
元のかたちは再び生まれる
大きく そして小さな
水のような夜に満ちる
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