ブリック・バイ・ブリック/ホロウ・シカエルボク
 
礫は新しい風景を描き出すだろう?そしてそいつはほとんどの場合数日で撤去される、つまり現象として一瞬のものに過ぎない…新しくそこに建造されるものは瓦礫と同じイメージを語ることが出来ない―俺が言っているのはそういうことさ、ねえ、この頃はずいぶんと建造物ばかりを有難がる連中が増えたよ、きっと、形がなければ不安になるんだろうな…トタンで出来たみたいな安普請の家でもさ、更地の上に居るよりは誇らしいみたいなんだ―俺の細胞のひとつひとつに混じりこんでいる毒素は、俺の正確な配列を壊し、俺は戸惑いながらそこに潜り込む、汚れた血を飲みながら泳ぎ、辿り着いた心臓の中で見たのは、細かな肉片に切り分けられた俺そのものの姿だったよ…。

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