ジャンヌ・ダルクの築いたお城 少女Aとテントウムシ/田中修子
おばあちゃんの腕に触ることもなんでかできない。私は血も涙もない異常犯罪者だ。お望み通りの少女Aだ。完全犯罪をやらかしたのだ。
その後、「はよう死にとう、はよう死にとう」は耳に沁みついてそのたびに自分を殴った。そのうちに体を傷つけ、そのうちに酒になった。
おばあちゃんのいる極楽には行けなくても、せめて死んでお詫びをしたい。違う、本当は会いたいだけだ。今度こそあの女から守ってあげたい。またあのサラサラでシワクチャであったかくて乾いた手をつないで一緒に歩きたい。すべての四季を、おばあちゃんとやりなおしたい。
ある時から別の理由でカウンセリング併設のトアウマケアを専門にしている精神科
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