ジャンヌ・ダルクの築いたお城 少女Aとテントウムシ/田中修子
ら妄想していた。おばあちゃんは首を絞めて楽にしてあげよう、きっとわかってくれる。父と母と兄は不意をついて心臓をひとつき、いや、どうも肋骨が心臓を守ってそれでは遂げづらいらしいから首の動脈だろうか、とか。
おばあちゃんと両親と兄と私、誰からみても幸せな5人家族だったころである。おばあちゃんは、母の母だった。
「はよう死にとう。はよう死にとうんや。ご飯たべられへん。食べられへんのや、喉のここまであがってきとるんや」耳に沁みついているおばあちゃんのうめき声だ。「はよう食べて! 食べきらんとうちの成人式の晴れ着見せたげんで。ばあちゃん見たいんやろ? 残したらばあちゃんが元気でもぜったい見せ
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