無題/◇レキ
 
世界へつながる大穴が開いて
手を?んだら飲まれて心が腐った

心が腐れば
ケモノは生きるだろう、と

代弁者がただ不安を配り歩いて

代弁者はなぜ自分に穴をあけながら
人の心を泣かせたがるのだろうと聞いてみたら

生きることは美しいと言い続けていたいから、だそうだ





破滅の使者がやってきた
一時の虚無に食われて死ぬくらいなら
ずっと虚しいままに生きなさい

そういって使者は小5から始める
道徳の教科書を配りだした


世界は腐った そして生きた


ただ ひなひなとよどんだ水面を飛ぶ
糸トンボが鮮やかだった





[次のページ]
戻る   Point(2)