今日がその日なら/ただのみきや
今日がその日なら
靴はそろえて
笑い顔で笑い泣き顔で泣く人の
歯に挟まった敗者の長い髪の毛を
結びつけた中身のない御守り袋が
まだ乾かない粘土の心臓をまさぐる赤ん坊の手だ
無表情な未来の素体に隠しきれない恥部を与える
骨ばった拳で片目を塞ぎながらしなければならない
全て馬に乗る者たちの対角に在るために
透明なゆがみを円く配るこぼれ落ちるままに
涙は汚染された美しい言葉のよう
ピンで止められ震えていた
絶えず生きながら殺され続けて
一羽の鷹が気流を踏み外し真っ白い理屈を言って墜落すると
鳩の群れは赤い目をして襲いかかった
ペンキで出来た罵声が街を埋め尽くす
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