私に話さないで/花形新次
臓器移植のために
作られ育てられた
子供たちは
学校で自称詩を書くように
奨められた
良い自称詩を書けば
マダムが
自称詩集を出してくれるという
噂だった
そして自称詩集を
出してもらえるような子は
将来、臓器提供を先送りされる
可能性があると信じられていた
しかし、実際は違った
自称詩に良いものなどなく
いくらマダムだって
クソ自称詩集なんかに金を出す分けがなかった
逆に超クソを書いた奴から
優先して臓器提供者に回すぐらいだった
ただし、自称詩人の臓器は
腹黒いの言葉通り、黒く爛れているので
使い物にならず
脳はスカスカだし
目は何も見てない
耳は何も聞いてないので
結局、ドッグフードにするしかなかった
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