するりと、世界が/霜天
 
時計が
ストロボみたいな一瞬の瞬きで
一回転したりするものだから
慌てて飛び起きる
格好だけして
頭では遠くの花の群れるイメージを
深さで
あくびと一緒に出た言葉が
つららの丸さで凍りついてしまう
慌ててお茶を飲む姿勢で
頭では遠くの


するりと

するりと世界がどうしようもなく
手のひらの上の届かない場所で
じわりじわりとうごめくものだから
するり、と
零れ落ちていくものを
捕まえることの出来ない手のひら

手のひらで


手紙を書きました
大勢の言葉をあなたの文字に似せて
裏返してみるとばらばらと零れ落ちて
なにも、ほとんど残っていなかったり
そんな日常
ストロボを、してみる
僕らはストロボをしている
瞬き、そんな風が吹くと
するりと世界が

はずれて、落ちる
世界が
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