ダブル・ベッド/
佐々宝砂
天井に赤い足跡。
てんてんと増えてゆく。
猫のそれよりもすこし大きい。
足跡をつけてゆく生き物の姿は見えない。
ダブル・ベッドの上のふたりは、
そんなことてんで気づかない。
見逃された足跡はゆっくりと、
南から北へと移動してゆく。
未刊詩集『異形小曲集』より
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