夢現〇命の余韻(改訂)/ひだかたけし
 
微かに発光するその小さないきものが
水辺から自力で上がって来るのを待って
ぼくはそのいきものを
そっと両手で包み込み
彼女の言葉に耳を傾けた

[命は壊れやすく
そうして
強靭なもの
わたしもあなたも
一つの懐かしい光の余韻]

彼女はそう言い終わると
青い大気に跳躍し
すっと太陽に呑み込まれた

これ以上にない最高の笑みを残して





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