終わりが。夏/倉科 然
地平線にキリンの首
水平線に鯨の潮
自滅願望を含んだ瞳でピアノの譜面
見て
ほら
キリンに胴体はないでしょう
鯨に実体はないでしょう
あなたと私は霞むでしょう
森林の奥深くも誰も見なければ演算されてないから
あなたの読んでいるストーリーテラーですら居ないのかも
霞んだあなたが逝ったことすら忘れていればまだ夏だ
知りたくない見たくない聞きたくないだってさ
朝焼けに放った愚は音にならず
わかったかな
空は飛べないことと
夕暮れと手放した左手
わすれたかな
言えなかったこともありもしないことも
ね。
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