柘榴の国のお姫さま/そらの珊瑚
朝が来たらしい
いつのまにか雨の調べは遠ざかり
ぼんやりと明るい
そして
うっすらと温かい
光が温かいのは
きっと誰かが決めたこと
光が遠ざかれば また
冷たい闇に抱かれる
そんなことを重ねながら
小さくて丸い私の国は
外へと ふくらみ続けている
だけどそんな繰り返しにも
ちゃんと終わりが用意されていて
それもきっと誰かが決めたこと
光を浴びた粒たちは
球体の中で艶やかな赤色を産む
私を夢心地にさせる
柔らかな寝床
あめ めだか からす すみれ れんげ げんごろう……
通りすがりの幼い声は
ざくろに
たどりつかないまま遠ざ
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