掛橋(改訂再録)/ひだかたけし
 
なんだかなぁ
目は痛むし心は鬱だし
何にもする気にならねぇなぁ
五十七の歳を迎えたこの九月末

外は青空いっぱいで
光が熱持ち降り注ぐ
道を歩けば金木犀の香
甘く甘く漂って
夏と秋とが綱引き合い
微妙な均衡保ち同居する

境に至っているんだよな
季節も俺も境目か
シンクロするように境目か

[白く大きな鳥、悠然と空をいく
  見たこともない巨鳥だ  ]

世界は相変わらず美しく
俺は相変わらず虚脱して
二つを繋ぐ橋を探している





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