形見の絵筆/黒川排除 (oldsoup)
わたしのおうちは
写生された絵の一部分
だがその絵より先に
風景はなかった
描かれたものとそのものとしての関係
ある決起した集団が
その絵の通りに
街の一構造を建設しようとした
朝がやってきて
得体の知れぬものが
個体然として
盛り上がる時
朝がやってきて
だが一部分だけが
明るみに出る
絶望的な平面だ
水を水平にすることなんて
はたして可能だっただろうか
放棄された道具の一群の下に
図面があり
誰も思い出さなかった
犠牲者は誰ひとりとして出なかった
犠牲者は誰ひとりとして出なかったが
とにかく葬り去った
道具の上から大量の土をかけて
土の上から雑
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)