あけ/ねなぎ
風が少しだけ冷たくなって
銀杏が足元で潰れていたら
秋なのだと思った
多分
長袖が必要になり
電車でマスクを見かけ
過ごし易くなったように
見せかけられるのだろう
線路脇に目を止めて
反芻するも
靄に掠れ
暑さ寒さが
何処までか
ただの花と
アルカロイドに黙らされ
塗りたくるように
押し付け
抉じ開け
憤り
収まらず
捻り込み
引き抜き
押さえ付け
滾らせ
掻き回す
鼓動吐息の粗さ
喪失するような
指の圧迫
引き千切れんばかりに
汗の滑り
爪を立てた
静かに見せられた
季節に
騒がしさが消え
電車の音も
遠くなり
色失くす季節に
目に刺さり
思い出させようと
するように
風に揺れている
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