街に降る/春日線香
 
                    昨日の雨は
                    東の街に冷たい胞子を降らせた



夜の公園の砂場
無数の傘が突き刺さっていて
引き抜こうとしても絶対に抜けない
まるで地中の誰かが必死に
抜かせまいとしているかのように

   *

あの犬は眠ってばかりで
通りがかりに見るたびに
首のうしろが桃色に禿げている
手で撫でるとひんやりと
林檎のようにひんやりと

   *

レタスが転がっていくだろう
真昼の乾いた坂道を
いくつもころころと
それはとても気分のよい出来事で
急なカーブも一斉に曲がる

  
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