あらかじめなにかが窒息している/ホロウ・シカエルボク
ジャンルを守ろうとすると人間はすぐに不器用になるものだから…ベンチに腰を下ろして空を見上げた、九月も知らない間に脇を通り抜けて行ってしまおうとしている、休日の今日は余計に人影もまばらで、操車場に覆いかぶさる天蓋のような陽の光を見ていると、俺は自分が世界でたったひとりになったみたいな気分に陥る、風は穏やかに吹き、少し離れたきちんとした公園で遊ぶ連中のはしゃぐ声を届けてくれる、太陽は無数のナイフを投げつけているように煌いている、どうしてあんな太陽が輝かなければならないのだろうと、そのことばっかり考えながら午後の仕事を片付けた、答えはまだ出ていない、ガラス管のなかに生身をむりやりねじ込まれるみたいな感覚が長いこと続いている、操車場で仲間を探している連中の何人かと話をしたけれど、まるでらちがあかなかったんだ。
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