緑の折り/水菜
緑の折を広げた
薄黄緑色のそれは
淡い光沢を放っている
元は、和菓子の菓子折りに使われていた淡い黄緑色の包装紙だったはずだ
丹念にしわを伸ばしていく
子供が折ったようなそのあとは
子供が折ったのではない 折り鶴のあと
すっと音が無い部屋のように思う
周りを見渡さなくとも
ハウスに閉じ込められたかのような
蒸し蒸しした緑の匂い
部屋中に敷き詰められた観葉植物から
むせかえるような土の匂いが立ち込めて
周りを見渡さなくとも自らの存在を主張している
彼女、と
仮にそういうつもりだ
私が子供のころ遊んだ河原に生えていた山藤をこちらに移植したのは彼女だった
彼女は寂
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