息遣い/ひだかたけし
 
今日の午前三時
痛む肉を携えて
部屋の暗闇に沈んだまま
私はひたすら夜明けを待っていた

その時また
意識のふわりと広がり始め
頭上から垂直に響く
無数の秘やかな息遣いに
じぶんの息遣いも混じり合い
いつしか私はうっとりと
澄み渡る気に包み込まれていた

気付くと一匹のコオロギの
鳴き声だけが静けさに
遠く近く木霊していた




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