さわめきの/水菜
 
さわめきの海
さざさあ 風がざわめいている

さわめきの海

とめようとしているの

とめようとするけれど

きっと とまらないです

さわめきの海が

青く青くふきすさぶ風のなか

地の底からのような声が

闇をくりぬいたかのような深い深い谷底からきこえます

わたしの あの人の

きっと幾千年も前のあなたも

この闇をくりぬいたかのような谷底を覗いて

かそけく囁く 声を ききましたか?

まるで、わすれないで と 言っているようで

わたし ここにくると 自然と涙がとまらなくなって


幾千年前のあなたと 今この地に立っているわ
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