夏の夜の底/由比良 倖
くらい」
「透明なの?」
私の夏の記憶は 血色に透きとおっていて 震えている 泣いて
いる
精神病院色の ポスター が 貼られている そこから風が吹いてくる
(中から?)
朝になれば 銀河の発蛍色は 無かったことになり、
光は きっと私の存在理由を、また、ぶらしてしまうことになる
私は 背の高い黒い建物の中を歩いていくことになる
中途半端に開いた意識の窓からは生ぬるいものが吹き込んでくるだろう
今日の日に合う旋律は 私の鼓動は 追いかけられて
夜の衰退の中に 閉じていった
昼 私の手のひらの上
何も いない
(景色は逃げていく)
白い、月 日
(蝶)…
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