もう僕らの時代ではない/はだいろ
会社で、総合職の若い人たちが、
僕なんかもちろんはるか後ろに置いて、
出世してゆく
それはそれで良い
会社の姿勢だ
だけど僕は僕で生活しなければならない
僕も若い頃は、
というより多分、独り身だった頃は
自分を何によって立たせるべきか、
ということを、
真剣に考え、それは、誇りであり、
善であり、美のようなものだったと思うけれど
今は生活そのものが
生きる目的である
電車では前のシートも横を見ても
皆スマホの画面を眺め
僕はこの頃とてもよく本を読む
サマセット・モームが面白くてしょうがない
ビルドゥンクスロマンが昔から好きである
次郎物語とか面白かった
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