捨て石/黒田康之
捨て石を書こう
ほらこんな形
見てごらん
ありふれてる
どこにでもある
石
誰かが、
僕が
君が
石を投げる
泥
土煙
草の根
花びら
しもばしら
に
石は落ちる
知っているのはわたし限り
犬が
とおり
猫が
歩く
雨が
(何度も)
流れて
土塊が
何度も降って
また誰かが
石を捨てて
手掛かりにつながって
過去を打ち消す
バランスで
ここにあって
誰かが
思い出のために
生きていた
記録に
柱を立てて
住み始める
縁もゆかりもない
僕が投げた石は
そいつの暮らしを支える
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