川の音楽/
服部 剛
川の畔(ほとり)に身を屈め
婦人は洗濯物を
無心にこする
額に、汗は滲み
袖を捲った腕に水は、跳ね
風に揺らめく、草々と
汚れを溶かす
川の流れと
背後をゆらりと過ぎる、牛の
乾いた合図の、鳴き声
気がつけば
川の流れと溶け合う、婦人の動作は
自らが音符であるように
二重奏を奏でる
緩やかに、圧縮された
田舎の風景のなかで
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