短詩八編/本田憲嵩
 
   「字源」


ある日テレビを見ていると
アスペルガーと思わしきとある女性タレントが映っていて
こんなことを言っていた
「人」という字について
こんなことを言っていた
「人」という字はヒトとヒトとがささえあって
できているのではなく
あれは弱者(短いほう)が圧しかかる強者(長いほう)に押しつぶされて
なりたっているのだと
いっしゅんその番組内の空気が凍りついていたのが
とても印象的だった


それはもちろん間違いで
ひとりの人間が脚をひらいて立っているすがたが
字源なのだと
謂われているのだけれど
それはぼくには紛れもない真実のように思われる
真実だか
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