てんてきのひと/
北井戸 あや子
てんてきのひとの下を肢体が運ばれる
てのひらに濾過された空ばかり残る
てんてきのひとの上で黙るのは蛍光灯
だけではないという、ひとは
そっと告げた
やはらかに遺されて読めもしないことばは
指先で
てんてきのひとをかなしむだけの猶予は
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