閉鎖花/ねなぎ
そこはかとなく匂う
色めき立つ
日々過ぎて去る
速すぎる師走の
風に吹かれて
独り溜め息を吐く
黒く
ただ歩いていたように
日の冷たさを味わい
道に声をひそめ
失い洶々とする
咲くことも無き花
咲いている色
ちりぎわになり
みだれとんでいる
どこまでも
つづくかさなりを
ちぎっていた
それは
あかでも
あおでもない
むらさきのよごれ
あばれくるう
ちからをかんじ
そのふあんていなつよさに
きょうふをおぼえていた
つめたくあたたかく
ふしぎなはなのように
さきみだれ
ちっていた
すみれのはな
立冬の薄さに
切り詰められている
ただ運ぶ蟻のように
ただ運ぶ蜂のように
身を踏みしめて歩く
固い冷たさの中
ただ匂いを思う
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