きぐるみのモノローグ/由比良 倖
 
「えへへ、それでね
「肋骨を開くと、クリスタルドームみたいになってるの
「果てなく消えていくための扉があるというわけ
「この世界は全て心の出口
「なら入り口は
「それは私だけ
「私だけの秘密
「触れたければ、
「手を入れてみればいい
「私の肋骨は扉になっていて
「そこは世界の入り口になっている
「私はあなたのおかしさになっている
「変な意識で私はあなたの右手になっている
「あなたの好奇心になっている!
「理屈では私はあなた、明日の
「あなたは私の好奇心から発した。
「と、語り終えられたときには
「この場所で好奇心を肯うものは
「あなた、と
「触れた手先の、固さ、冷たさ
「私の、小さな死の予感
「これ、だけ

「ならば、
「心とはあなた、
「あなただけ
「どうか
「どうかどうか

「あんまり変なリズムを覚え込ませないでくださいね
「それで
「変とは全てがニュートラル
「時制が一方に加担しない閉塞
「神さまの優しさを言うのです。
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