黒いぐちゃぐちゃ爆弾/田中修子
 
も黒いぐちゃぐちゃ

かえして
わたしのだいすきな家族を
かえして
ふつうの日々を虚ろのようにのみこんだ偉大な理想なんか
かえせ
あんなものかたっぱしっからたたっこわしてやる

どんなにか、平和を祈りたかったでしょうか
なのに、あんなにもまっくらすぎて
焼夷弾がパっと火をつけてくれて
こわがりながら燃え上がれたら
あの家は少しは、あかるかっただろう、などど

わらいますか わたしを

このようなことをいったら

真っ暗なお父さんも真っ暗なお母さんも
ゴミをみるようにわたしをわらったのはかろうじてみえましたので

いまだ泣きも怒りもしない、すこしニヤついた
気味の悪い顔で
わたしはあなたをみあげています
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