不愉快な手触りの街/ホロウ・シカエルボク
を嘆くように丁寧にグラスを拭く
古いフォーク・ソングはなわとびの歌を奇妙なくらい気真面目にうたい
路地裏に捨てられたアーリータイムスの小瓶を野良猫が弄ぶ
両腕だけを丁寧に隠した下品な女がホテル横の路地で
気の弱そうな旅行客を手癖足癖で誘っている
交番の前で汚れた自転車が投げ捨てられて横たわっている
繁華街のオープンスタイルのバーでハイソサエティ気取っている
妙なパープルのスーツを着た男の話声は少し大き過ぎる
隣に座っているファッション誌しか読んだことなさそうな女にはウケているようだが
高架の上を億劫そうに通り過ぎる普通列車は廃車になる夢を見ている
酔い過ぎて動けなくなった男が
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