女神の抱擁/ただのみきや
 
Venus flytrap
抱擁から解き放つと
――心臓から飲まれていたのはわたし
黒い孔雀は飛び去った
眼差しの影ひとつ 
落とすこともなく 
時の支流が無数に重なり合う彼方へ
ひとつの座標となって
澄み切った永遠を想うことで
存在を朧にする星のように


かつてすべてであり
かつて一部であった
養い子――捕えたのか寄生されたのか――は
いまや野生の妖魔
躊躇いもなく
繋がりもない
――解放されたのはわたし


冬枯れの荊が萎れた果実を取り囲む
風通しの良い襤褸 白骨の女神は
静止して 漲り 笑う 嘘のように
永劫不妊 空白に潜む
機械的母性 パ
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