現象/ひだかたけし
 
燃えている

寝床でノートを一枚破り
くしゃくしゃに丸め宙に投げたら

燃えている

めらめら青白く
宙に浮いたまま

ぼんやり見上げていると
大きくなったり小さくなったりしながら

燃えている

叩き落とそうかと思ったが
別に何の害もなさそうなので
そのままにして横になっていると

いつの間にか
赤黒い火球となり
猛烈な速度で回転し
ストンと床に落ちた
瞬間、



という漢字が浮かび上がり
うにょうにょと幾筋かの線に解体しながら
震え痙攣し スッと消滅した

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