遠くへ/藤鈴呼
百日紅が咲き始めた地上は非常に暑く
閉口することも許されぬほどに膨らむ
ペットボトルを握りしめて 叫ぶ
薄く気化した炭酸を 追い駆けては
呟きの友と語らう 夢の中
背繋げに啼く鴉の群れが
まるで 白鳥の如く V字に広がる
坊や 大きくなったら 何処へ行きたい
問いかけた台詞が 湖の奥へ 沈んだ
忘られるなら 遠く 空の向こうへ
あの 飛行機雲を 追い越せるくらいまで
舞い上がって 踊れ
白鷺の花のように 象られた花が浮かぶ
水面に口づけるのは 干からびた 鳥の嘴
憂いの刃よ
切っ先を掠めたのは 緑の葉たち
大きすぎて 傘の花をも 包み込むくらい
そ
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