闇話 闇花/木立 悟
 




縦の冷たさと
斜めの温さが
夜の晴れのなかひとつになり
虹とはばたき 地に倒れる


どこから話したらいいのだろう
地を打つ空の尾について
鏡の原が枯れたあとも
残りつづける棘について


かさりかさりと歩む夜
川をまたぎ
湖を踏み抜き
海に森を沈めゆく


低い闇から降る言葉
土の上の小さな窪み
川波は草波より高くうねり
川幅を超えることなく山を昇る


しるしを隠すしるしが
夜の径につづいてゆく
あやまちでもなくただしさでもなく
ただかたちに重なる無音のかたち


話し相手は何処に居るのか
それとも最初から居なかったのか
窪みに咲いた黒く透る花
降る火を映してまたたいている






















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