夏の夜のこと/AquArium
蚊取り線香の匂いが漂っていた
あの夏の夜を
貴方は覚えていますか
時折天を仰ぎ
用意していた言葉を
ひとつ、ひとつ紡いで
気づくと蚊に刺されて
痒みを帯びた足の甲
それくらい動けずにいたね
どれほどの人が通り過ぎただろう
都会のマンションの下
人目を気にする余裕がないほど
ただ、
?いて、
探し続けた答え
貴方の嗚咽を聞きながら、
咽び泣く私の
今更こみ上げる愛しさが
憎い
どうすれば、
潔く背中を向けられただろう
下手くそな愛情表現でしか、
気を引けずに
私たちは構ってちゃんだったね
同じ季節が巡って
あの夏の夜を
いつも思い出しています
本当は、
秋も冬も春も
思い出していました
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