そういう生き物/そらの珊瑚
 
猫の喉奥から
小さな雷鳴が聴こえる
やがて
雨が降ることだろう

さみしさを埋めようとして
猫を飼うということを
怒っているのかい、

六月の保護色みたいな灰色の毛は
なでられるままにされている

喜んでいるのよ、それは
猫ってそういう生き物だから


それの真偽は確かめようがないし
知ったところで世界は変わらない
わたしは人間だから
浅はかな女だから
さみしさは埋まらないことを
知らないふりして
猫を欲しがっている

猫は
身のうちに空を隠している
そうして時折飛行機がゆく
激しい夕立のさなかにあっても
(やっぱり降り出した!)
果敢に
ほら
喉奥辺りに
飛行機がゆく音が聴こえる
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