碗/遙洋
 


あたらしい方法
をさがすようにして、さまよい
さがしあてたように、一つの碗を手にする


テーブル


しずかに碗を置く


そそいでも崩壊しない強度なら
わたし自身も持ち合わせているはずなのに
ほころぶ箇所がいくつでも見つけられるという
もう、間に合わせでは、いけなくなってしまった


無色透明でも
重さはごまかすことができない
わたしは、とことばを発すればいくらでも、ごまかすことができた
けれど重さは、ごまかせない


四度も五度も煎じた茶から抽き出される色彩よりも
もっと淡い
それでも、それは思想といえるの?
わたしはそそぐ
この碗は壊れない
水と器のはだがすれて
川のような音がきこえる



戻る   Point(3)